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漢方治療について

お知らせ(R6.3.13更新)

独り言
漢方治療について


漢方薬による治療についてお話しします。
 漢方薬は病名だけで使っては効きにくい
 漢方医学は、今でこそ医学部のカリキュラムに少しずつ取りいれられるようになりましたが、それまではほとんど教育がなされませんでした。そのため東洋医学に興味をもって自己学習をした医師以外は、漢方薬を使いこなせません。なぜならば漢方薬は、その構成や使い方が西洋薬とはかなり異なるからです。西洋薬は病名で薬を使って効果をだすのですが、漢方薬は西洋医学の病名で使ってもあまり効かないことが多いのです。

漢方薬の特長はなに?

 漢方薬の特長はいろいろありますが、中でも冷えを改善する作用(温・熱剤)、不足した身体の要素を補う作用(補剤)は漢方の優れた点です。また、気剤(きざい)といわれる心(こころ)に作用する生薬が、かなりの漢方薬に組み込まれていることが多いのです。これは身体と心は無関係には存在しないという「心身一如」の漢方の考え方を現しているものだと思います。 

どのような人に漢方治療は向いているのでしょうか
 
 漢方薬というと古くさい薬、老人向けの薬というイメージをもたれる方がおられるかもしれません。でも来診される方は、若い方も多いのです。若い方は自律神経・免疫・ホルモンがらみで、身体のバランスがこわれて起きる症状が多いのですが、その是正をはかるのは漢方治療の基本だからかもしれません。これら漢方の言葉で気・血・水のバランスとしてとらえます。
 西洋医学で問題なく治ってしまう病気ならあえて漢方治療の必要はありません。ですから当クリニックを受診される方は、西洋医学的に治療しているがどうもよくならない・・、いろいろ検査して異常がないと言われたが具合が悪い・・、西洋薬で副作用がでやすい・・などの患者さんが多いのです。病気に対するアプローチの仕方が東西医学では異なりますので、そのような方に漢方が効くことがあります。私の力不足で治療効果がだせない残念な患者さんもいますが、漢方に期待される思いにできるだけ応えられるよう勉強を続けたいと思います。
 西洋薬はこわい?
 西洋薬は強い薬だから、副作用が怖いから、癌だけど手術したくないから、そのような理由だけで漢方治療を求める方もいらっしゃいます。しかし西洋薬でも、正しい使い方をして注意深く患者さんの経過観察すれば、副作用を防止できて非常に有効な場合が多いのです。また重症疾患や癌などは西洋医学的治療を優先して、漢方薬は補助的に使用すべきでしょう。
 当クリニックでは、必要な方には血液検査を行ったり、西洋薬の処方もします。東西医学の垣根にとらわれず、その長所をいかして治療するのが患者さんにとってよいと思っています。

漢方薬はプラセボ(偽薬)か(26.7追加)

  いまや東大の教授でも漢方を使う時代ですが、お医者さんのなかには、漢方薬なんて効くわけ  ないと思っている方が未だにいらっしゃるのも事実です。おそらく、漢方で劇的な効果を示した症例 を体験したことがないお医者さんだからでしょう。

  先日、「活」とういう本を何気なく見ていたら、「恥ずかしい話」と題して、千葉大学和漢診療学特 任助教授の岡本先生が投稿されていました。
 面白かったので、ここに引用させていただきます。(一部表現など変えています)

  ”もう10年以上も前の話。当時、漢方の効き目はプラセボ効果によるものに過ぎないのではと疑 っていた私が、漢方にはまるきっかけとなった症例をご紹介します。患者さんは30代前半の女性  で、てんかんを患っておられました。西洋薬によって日中の発作は消失したものの、睡眠中に発作 が頻発するという症状が残っていました。40歳前後のご主人がいつも付き添って外来受診されて おり、非常に仲のよいご夫婦でした。当時漢方をあまり知らなかった私は、西洋薬の治療に難渋し たあげく、「てんかんの病名で保険が通る」と聞いていた「なんとか竜骨牡蠣湯」を処方することに しました。4週後の再診時、診察室に入ってきたご主人は、喜色満面で「いやー、先生!漢方って 効くんですね!」と。私:「そうですか?」ご主人:「実は、漢方なんて怪しげなものを妻に飲ませる のはどうかと思って、私も一緒に飲んでみたんですよ。そしたら、なんだかあっちの方がすごく元気 になってきて」私:「・・・・あっち?」ご主人:「夜の生活の方ですよ。で、薬について調べてみたら、 効能が性的神経衰弱とか書いてあって」私:せ、性的・・・・?」ご主人:「いや、こんなに漢方が効 くとは思いませんでした。でも、この漢方って、てんかんにも効くんですか?」私:「・・・・(汗)」    その後どう話を取り繕ったのか、覚えていません。まだ漢方薬の名前すらうろ覚えだった私は、  (てんかんの保険病名で使える)柴胡加竜骨牡蠣湯ではなく、桂枝加竜骨牡蠣湯を処方してしま っていたのです。それがてんかんに効くと思って服用したご主人の「性的神経衰弱」に効いた・・・ ということは、プラセボ効果が否定されるわけです。その後てんかんについては、桂枝加竜骨牡蠣 湯でも柴胡加竜骨牡蠣湯でも改善せず、抑肝散に転方したところ発作は完全に消失しました”

桂枝加竜骨牡蠣湯や柴胡加竜骨牡蠣、抑肝散などは証に応じて不眠などによく使われる薬です。
私も時々内服することがあります。漢方って面白い!


漢方薬の副作用について

  漢方薬は一般に副作用がないと思われていますが、副作用はあります。
  大きなものは主に次の3つです。

① まず多いのは多くの漢方薬に含まれている
「甘草」の副作用です。これは中年以降の女性にお  こりやすく、頻度も比較的多いのです。血液の中の電解質のカリウムが減少することでむくみ、
  血圧の上昇など
がおこります
  気づかずに放っておくと、ひどい低カリウムの結果、不整脈などがおこることもあります。

② 次に多いのは
肝機能の異常です。これは「黄芩(おうごん)」という生薬の含まれた漢方薬を内 服中に発症することがほとんどでアレルギーで生じると言われています。初期のうちは患者さんの 自覚症状がほとんどなく、たまたま検査したら肝機能がボンと悪化していたということがあります。 尿が通常と違って褐色になってきたら、肝機能に異常が起こってるかもしれないので医師に早急  にご相談下さい。「黄芩」を含む薬を止めると、比較的すーっと肝機能はもとにもどります。
 「黄芩」自体は炎症を改善するのに重要な生薬ですが、注意して使う必要があります。

③ 3つめ これが一番怖い副作用なのですが、間質性肺炎があります。これも
「黄芩」を含む漢方  薬で起きることがほとんどです。空咳・呼吸困難などがおこり、気づかずに死亡した方もいます。
 ただし頻度はまれで、この30年の間、幸いに私は一度も経験したことはありません。

 ですから漢方薬といえども注意深く使用しないといけないわけですね。でも頻度はそう多くないの でむやみに怖がる必要はありません。
 当診では患者様の負担を考え、できるだけ検査は行わないようにしていましたが、最近肝機能の 異常が起こった症例が続いたため、やはり定期的な検査は必要であると考えています。

上記外に、薬の選択を間違え、「証」が合わなかったために生じる不快な症状もありますが、それ は副作用とはいえませんので割愛します。

余談ですが、私は貧乏性で小心者のため、患者さんの懐具合を考えすぎて、できるだけ負担のかかる検査をしないようにしているのですが、時にはそれが裏目に出て、他院で検査されて、漢方による副作用を指摘されしまったというケースがあります。本当は副作用のチェックのため3ヶ月おきくらいに採血をした方がよいと言われるのですが・・頻度があまり高くないことや検査の医療費負担が重いためそうそう簡単に検査検査とは言えないジレンマがあります。これからは心を鬼にして初診1ヶ月目と3ヶ月目あと半年に一意度は採血をする方が患者さんのためになるかもしれないと思っています。

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